らぶ２（らぶらぶ）ナビゲーション　恋の免許講習

カクテルソフト

対応機種　Ｗｉｎｄｏｗｓ95/98/2000/NT4.0

アドベンチャーゲーム

恋愛物

発売日　２０００年８月１１日

■執筆日：２０００年９月１０日

■評価

（５点満点で）４点 ・グラフィック＝４点 ・シナリオ　　＝４点 一言コメント＝カクテルソフト作品なのに意外とシナリオが充実。

■プレイ時間

初回＝　８時間４５分 合計＝３１時間５５分（全エンドを確認）

■ゲーム紹介

カクテルソフトから発売された恋愛系アドベンチャーゲームです。「きゃんきゃんバニープルミエール」「同エクストラ」のシナリオで有名になった春菜ななこさんが久々にライターを担当しており、カクテルソフト作品にしては珍しいシナリオが充実した隠れた好作品です。

■スタッフ

ディレクター＝小山光 企画･構成＝春菜ななこ シナリオ＝春菜ななこ・草薙こうたろう・うらわ・せつまさあやこ・ボリショイ小暮 原画＝太田武士

■ストーリー

主人公「伊奈柄式　克巳（変更可能）」は、大学の夏休みに自動車の免許を取ろうと、「御羽島」（みはねじま）ドライビングスクールの合宿に参加します。ところが、到着早々、ノートパソコンは壊れるわ、携帯電話を海に落すわ、挙げ句に「モバイル君」とあだ名を付けられるわ、と散々なスタートとなってしまいます。しかし、合宿に参加しているのは可愛い女の子ばかり、と解り、免許の取得と恋人作りを目標に頑張る事にしますが・・・

■ゲーム概要

ジャンルはアドベンチャーゲームですが、ノベルに近いものがあります。時々選択肢を選んだり、「どのヒロインの隣りに座るか」をマウスで指定するくらいで、大半の時間は物語を読んでいれば良く、軽快にプレイできます。 　内容はオーソドックスな恋愛物です。雰囲気は、雑誌では「どたばたコメディ」の様に紹介されていますが、実際は「青春恋愛物」をメインに、「しんみり」系シナリオ、「不思議」系シナリオ等をセットで詰め込んだ、落ち着いた感じのゲームです。 　ゲームの期間は８／１〜８／２４の約三週間です。ゲームの難易度は１０段階でいうなら１（最も易しい）レベルでしょう。何せ、ストーリーのごくごく初期で「どの娘が好き？」という事を繰返し尋ねられ、その選択次第ですぐに分岐してしまい、後はヒロイン毎の一本道ストーリーに入ってしまうからです。 　各ヒロインの話に入ると、基本的にストーリーを読んで行くだけでテンポ良く進み、場所移動でヒロインを探し回ったりする必要は有りませんので、凄く楽にプレイできます。また話の途中で何回か二〜三択の選択肢が出ますが答えはまる解りというくらい易しいので、迷うことは無いでしょう。唯一「菜月」編は答えが解りにくいのですが、これも間違った答えを選ぶと、すぐにゲームオーバーになるものの、そこから即やり直せば良いので、ハマったりする事は有りません。攻略情報を待つ必要無しの有難いゲームでしたね。

■原画・ＣＧ

原画は「大田武士」氏です。氏の絵は「晴れのち胸騒ぎ」の頃は全然好みでは無かったのですが、長い年月の間に良い感じに絵柄が変化された様で、本作は結構良い感じでした。特に各ヒロインの顔のアップのＣＧは見ていてちょっとドキドキしましたね。絵の塗りに関しては、いつものごとくＦ＆Ｃ精鋭陣が良い仕事をしており、文句の付けようが有りません。

■ヒロインたち

・七瀬奈月（ななせ・なつき）　講習仲間。性格の明るいメインヒロイン／シナリオ担当：春菜ななこ ・芹沢透子（せりざわ・とうこ）　講習仲間。大人しいお嬢様／シナリオ担当：草薙こうたろう ・遠見ひかる（とおみ・ひかる　講習仲間。派手娘／シナリオ担当：せつまさあやこ ・叶　深奈萌（かのう・みなも）　講習仲間。性格キツイ系ヒロイン／うらわ ・山口京香（やまぐち・きょうか）　教官・美人のお姉さま／シナリオ担当：ボリショイ小暮 ・桔梗姫（ききょうひめ）　　　　隠しヒロイン／シナリオ担当：春菜ななこ

■感想

いや〜、これ面白かった。Ｆ＆Ｃの恋愛物では久々のスマッシュヒット！！でした。 　シナリオは「春菜ななこ」さん他計５名で、ななこさんは「きゃんきゃんバニー・エクストラ」（カクテルソフト／１９９３年）のシナリオを書かれた伝説の人で、私の心の中では有る程度神格化された存在でした。しかし、久々（５〜６年ぶり？）のゲームシナリオへの本格復帰には期待半分・不安半分でおっかなびっくりでしたし、さらに、ななこさんが全ヒロインを担当したのではなく、聞いた事が無い様な新人も参加している、と解り、内容の方をますます不安視していたのですが・・・ 　ところが蓋を開けてみると、これは全くの取り越し苦労でした。ななこさん担当のシナリオはもちろん、他の方のシナリオも（ななこさんにつられたのか）Ｆ＆Ｃ作品とは思えないほどボリュームが有り、全員クリアするまでに（殆どやり直しが無いのに）３０時間以上もかかってしまった程です。また、内容の方もダラダラ長いのでは無く、きちんと中身が詰まっており、納得のプレイ時間でした。 　雑誌では崩れたギャクダッチのＣＧが一杯紹介されていたので、バタバタした感じの騒がしい恋愛物かと危ぶんでいたのですが、いざ開始してみると、殆どそういう事は感じず、ごく普通の恋愛物、という感じですんなりプレイできたのは嬉しい驚きでした（ゲーム中にギャグ系の絵が頻繁に使われていましたが、個人的にはあの絵は雰囲気からは浮いて見えましたね）。 　Ｆ＆Ｃと言えば恋愛系ゲームの大御所ですが、ここ３〜４年の恋愛物は「絵は好みだし、雰囲気も肌に合うけど、各ヒロインのストーリーが薄くてどうにも物足り無い」と愚痴をこぼしてしまう作品ばかりだった気がします。ところがこの作品は、嬉しくも、プレイ前の予想を裏切って、ストーリー面がかなり充実していました。　どの話も「心打ち震える物語」という程高尚では無いのですが、「どたばたコメディ」的宣伝とはうらはらに、落ち着いた感じの恋愛物が用意されており、静かに恋愛を紡いで行く過程などが、私の好みにかなりマッチしていました。 　決して大傑作では有りませんが、「恋愛物としてシナリオが充実している」と思ったＦ＆Ｃのゲームは本当に久し振りです。そういう意味ではこのゲームは宣伝の方向がややズレていた気がするし、修正情報をお伝えし、ギャグと思って敬遠していた方にこの作品をプレイして頂ければ、この作品が気に入った私としてはとても嬉しく思います。

■最後にネタバレ感想

さて、このゲームは「どたばたコメディ」という様なイメージで宣伝されていますが、私はそれは正確な内容を表していない気がしますので、雰囲気毎にシナリオを分類してみました。 （１）青春恋愛物（七瀬菜月） 　シナリオ構成担当のななこさんが書いたメインヒロイン「菜月」のストーリーは、このゲームを代表する物語と言って良いかもしれません。お話のノリは、「青春恋愛物」という感じで、ちょっと引込み思案の主人公が、合宿で一緒に授業を受けたり、様々なイベントを経る内にヒロインと仲良くなって行き・・・、という感じです。「告白」する事が一大イベントだったりするのが、微笑ましくも楽しく感じられました。 　「涙」とか「胸がドキドキ」という要素は無いのですが、ちょっと仲良くなって喜んでいたら、ちょっとした事で嫌われて、でもまた仲良くなって、という山有り谷有りの展開が中々心のツボにはまりました。おまけに菜月一人のストーリーだけで約８時間も有るのですから、ボリュームもたっぷりでしたしね。 　という訳で、個人的には、「このストーリー一本で発売されたとしても文句は無かっただろう」という程、質・量ともに楽しめました。 （２）しんみり恋愛系（透子・ひかる・深奈萌） 　透子・ひかる・深奈萌の三人のサブヒロインのシナリオは、意外にも「しんみり」系の展開のストーリーでした。主人公は菜月編に比べるとかなり「大人」で、落ち着いた台詞や行動で、ヒロイン達との恋愛関係を少しづつ少しづつ紡いで行きます。コミカルな台詞やＣＧは殆ど出番が無く、ごくごく普通の恋愛ストーリーと言っても良いでしょう。しかし、「恋愛関係が少し進んだと思ったら、誤解などで少し離れ・・・」という展開は、彼女達のストーリーでも使われています。 　まあ、あまり派手なイベントがなく、ドライビングスクールの設定も使われ方が弱い、また全体的に大人しめ、という感じはしますが、各ストーリーともボリュームは結構有り（約５時間）、どのシナリオもそれぞれ楽しめました。 （３）サービス一杯系（京香） 　京香さんのシナリオは、序盤は「しんみり系」＋「歳上の女性への憧れ」という感じなのですが、中盤からタガが外れたかのごとく、サービス大盤振る舞いの怒涛の展開に突入します。主人公は恋愛初心者どころかその道の百戦錬磨という感じで、極めてサービス度数の高い物語が最後まで続きます。うーん、これが「菜月」編と同じ主人公の物語とはても信じられません。シナリオライターのボリショイ小暮氏は、マニュアルで京香シナリオを「プチレッドゾーン」云々と書かれていますが、その言葉は全く正解です。いやー、凄いです、コレ。 （４）不思議系（隠しヒロイン桔梗姫） 　あるヒロインのストーリーをクリアすると、おまけシナリオが選択できるようになります。雑誌を見る限り、このストーリーのヒロインは隠しキャラとして伏せられている様なので詳細は明かしませんが、他のシナリオとは全く雰囲気の異なる「不思議ストーリー」が用意されています。 　ボリュームは他のヒロインのシナリオと比べると少ないのですが、内容はまあ悪くはない、という評価です。 　どのシナリオも「珠玉のストーリー」というレベルでは有りませんが、５段階で「３〜３．５」くらいの位置には着けていると評価しています。特に「どたばたコメディ」という様な要素は（絵を除いては）殆ど無いのが、意外で有ったし、また嬉しい驚きで有りました。

一覧へ戻る＞ サイトトップへ戻る＞ 総合トップへ戻る＞